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【微熱線~binetuline~】


微熱線へお越しくださいまして、ありがとうございます。

このブログは、辰城百夏のオリジナルBL小説サイトです。
BL等に興味の無い方や嫌悪を抱かれる方は、閲覧をご遠慮願います。
あまり過激な表現のものは掲載しないようにしておりますが
全くないわけではありません。
タイトルNO.に『 * 』若しくは『R18』の付いたもがあります。
18歳未満の方は閲覧にはご注意ください。

******************************
◆お知らせ(更新:2014/01)

 『微熱線』へお越しいただきまして、ありがとうございます。
 そして、お話を読んでいただいて心から感謝しております。


 ★ あっという間に新しい年が来てしまいました><;
   只今、充電期間と称して少しの間、お休みしています。
   お休みしている間に、過去の作品などをたくさん読んでくださって
   本当にありがとうございます。
   ご感想などあれば、是非お寄せくださいm(__)m

 ★ ずっとお休みをしておりますが
   只今【Möelva-B×B-】にて掲載しておりますコラボ作品の一部を
   こちらに再掲載するための移行作業を行っております。
   コラボ作品と言えど長編のため、修正等がたくさんあって
   今すぐの再掲載とは行きませんが、そのうち徐々にこちらにて
   記事をUPしていく予定です。

   それから計画していた『upppi(ウッピー)』という電子書籍を
   UP出来るサイトにてブログに載せている作品を掲載していく
   予定でしたが、サイトの作りがリニューアルされてから
   作品の検索がしづらい感じになってきたので、あちらへの
   掲載を暫くは見送ろうと思います。
   upppiがより読者様にとって見やすいと思えるようになったら
   再度検討していきます。

   少しずつですが、新しいお話の資料集め等も行っています。
   これからも頑張って行く所存ですので、これからもどうぞ
   宜しくお願いいたします。



******************************


◆コメントレスについて
  コメントをいただけることは、作り手にとって大変嬉しい限りです。
  本当にありがとうございます。
  当ブログのコメント欄は、短編物やあとがき記事以外には使用しておりません。

  拍手ボタンからいただきましたコメントへのレスは
  各記事の追記部分に書かせていただいております。

  各記事の『続きを読む』をクリックしていただきますと、レスの確認が出来ます。
  ご面倒をお掛けいたしますが、何卒、ご理解の程、宜しくお願いいたします。

******************************

◆当ブログに掲載の文章及び画像の著作権は辰城百夏並びに雪月祷歌にあります。
◆当ブログ内の文章及び画像を無断転載・流用することを禁止します。
◆当サイトは版権の二次創作掲載もしておりますが
  各版権元、各関連企業とは一切関係ございません。

******************************

 ↓これまでの作品一覧は『続きを読む』からどうぞ↓

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ジャンル : 小説・文学

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【お知らせです】



★2012/03/27 コメントへのお返事

作品に対するコメントをありがとうございました♥
『KISSは夜更けに★番外編 FLY AWAY』38【最終回】へ
コメントのお返事をさせていただきましたm(__)m
素敵なお言葉、大変嬉しかったです!

 こちらからどうぞ



★今後の予定について

沢山の方にご訪問いただいて、拙い作品を読んでくださって本当に感謝しております。
今後の【微熱線】の更新予定ですが、充電期間と称して少しの間、お休みをさせていただきます。

一つは、【Möelva-B×B-】への作品制作のためです。

某SNSのBL好きサークルの企画で発足した絵師チーム『ciliegio』というグループに、辰城も参加させていただいているのですが、メンバーさんと辰城とがコラボしている作品が掲載中で、次が辰城が続きを書く番となっておりまして……^^;
同時に幾つもの作品を作って連載するという器用なことが出来ないので、とりあえず【微熱線】のほうはお休みして、【Möelva-B×B-】の作品に集中させていただこうと思っています。
こちらの作品には、【微熱線】でもお話が載っている「翔榮&雪耶」の久世雪耶が登場しています。
Möelva-B×B-】では狂司郎というメンバーさんのキャラとダブル主人公という設定で、狂司郎との出逢いから仄かな恋心が芽生える……という辺りまで、現在掲載されています。
【微熱線】では別ストーリーとして「その後……」の雪耶を描く予定でまだ作品は一つだけなのですが、現在~その後の雪耶の変化も楽しんでいただけると思いますので、読者様の食指が動くようでしたら是非【Möelva-B×B-】の作品も読んでみてください♪ 他のメンバーさん達の作品もありますし、辰城の絵も載っていたりします。
作品の連載が始まりましたら【微熱線】でもお知らせしていきます。

それからもう一つは、絵を描きたいという理由です。

昨年は殆ど絵が描けなくて、寂しい想いをしてしまいました。
今年は一つでも完成させたいな~と思っています。
描いてあげたい自キャラもいますし、【Möelva-B×B-】のキャラや他サイト様のキャラさんも描いてみたいと思っています。
絵は、経過や完成作品をブログに載せることも出来るので、少しずつではありますが、当ブログの更新も出来るかな……と思っています。

勿論、次回作の制作準備もしていくつもりです。
創作ネタの引き出しが少なく、次々に作品を作れないというヘタレのため、自分なりに準備や時間がどうしても必要になってしまうので、充電期間=制作準備期間と思っていただけますと嬉しいです。
若輩者ではありますが、ただ単にBLというジャンルの作品ではなく、世界観や物語自体が楽しめるようなものが作っていけたらという目標に一歩でも近づけるよう頑張りますので、どうかご理解の程、宜しくお願いいたします。

時々ショート作品も載せられたらいいなと考えていますし、完全に休みというのではなく、更新回数は減りますがアングラ的に常時活動はしていますので、記事が上がったら「頑張ってるか~?」と覗いてみてやってください。
ヤル気と元気をもらって一層頑張れます!


ここまで読んでくださいまして、ありがとうございましたm(__)m
今後とも、よろしくお願いいたします。
次回更新にて、またお逢いできると嬉しいです。


辰城百夏

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KISSは夜更けに★番外編  FLY AWAY 38 最終回

 
 
 
「……兄ちゃん」
「匡海さんっ」

 どいてろ。
 洸ちゃんを押し退けた匡海兄ちゃんからは、何の感情も読み取れなかった。
 でも、こういうときの兄ちゃんが一番怖い。
 そう思った瞬間。

「匡海さんっ!!!」

 バキッ!
 凄い音と衝撃が俺の身体を貫いて、後ろに吹っ飛ばされる。
 と同時に、鶴橋巡査か明野さんのヒュ~♪というなんとも楽しげな口笛が聞こえた。

「匡海さんっ!出掛ける前に、殴らないって約束したじゃないかっ」
「お前は黙ってろ」

 洸ちゃんの声に重なるように、兄ちゃんの低く唸るような声が響いた。
 吹っ飛ばされた身体は、後ろにいた鶴橋巡査に受け止められて倒れはしなかったけれど、兄ちゃんのパンチは相当な力だったみたいで、俺は膝から崩れるように廊下に尻をついてしまう。
 二人の小さな弟は、驚いて口も目も開けたまま固まってるし。

「郁くんっ!」

 涙目の洸ちゃんが、俺を庇うように傍に座る。
 でも、二度目のパンチは無くて、仁王立ちの匡海兄ちゃんが上から見下ろす格好で呟いた。

「どうして殴られたか、解ってんだろうな」
「…………うん、解ってる」

 口の端が切れて、血が流れてきた。
 口の中も鉄臭さが充満している。

「大丈夫?」

 洸ちゃんがハンカチを当てながら心配そうに聞いてくれる言葉に、俺は痛みに痺れた頬を何とか動かして笑い返した。

「うん、大丈夫だから。洸ちゃんもう泣かないでよ」
「洸大を泣かした分も殴りたいくらいだ。それを一発で我慢してやったんだからな」
「……うん、解ってる。兄ちゃんに俺……ちゃんと健大を守るって言ったのに守れなかったんだから、怒られて当然だって……ちゃんと解ってる」
「匡海さんっ!郁くんはちゃんと僕を助けてくれたよっ!」

 健大が声を張り上げて、匡海兄ちゃんと向かい合うようにして俺の前に立つ。
 こんなふうに声を上げる健大を初めて見た。
 それは洸ちゃんも同じだったようで、驚いたように健大を見上げている。

「泳げない僕を一生懸命助けてくれた!」
「俺が言ってるのは、そういうことじゃねーんだよ」
「自転車を二人乗りして河に落っこちた事なら、郁くんだけじゃなくて僕の責任だってあるんだから、僕も殴ってくださいっ!!」

 それでなくても俺が殴られたところを見て真っ青になってる健大を、兄ちゃんが殴れる訳がない。
 兄ちゃんは小さく溜息をついて、健大の頭をガシガシと揺らすように撫でた。
 その拍子に零れ落ちた涙を、乱暴に拭ってやる。

「あのな、郁海はお前を守ると俺に約束したんだ。それなのにこいつは、約束を口にした舌の根も乾かねーうちに、調子に乗って自らお前を危険な目に合わせたんだ。一発殴られただけで済んで良かったっつーもんだろ」
「でもっ」
「お前の中学受験も取り消して、将来姫蔵に行くことも出来なくしてやることだって出来るんだ」
「……っ!」
「こいつと俺の約束ってのは、そのくらい真剣で厳しいもんだってことだ」

 中途半端な気持ちでは、姫蔵のことや匡海兄ちゃん達に関わらせない。
 俺が忘れてしまっていたのはそのことだった。
 ずっと、兄ちゃんの背中を見て育ってきた俺が、一番良く解っていて、一番忘れちゃならなかったのは、俺達に背中ばかりを見せていた兄ちゃんが実は、背中しか見せられないくらい一生懸命になって俺達を守ってくれていたからなんだってこと。
 俺達兄弟が、姫蔵の奴らに指一本触れられることなく自由に生きてこれたのは、兄ちゃんの背中がそれを守ってきてくれたからなんだ。
 やりたいことはたくさんあっただろう。
 兄ちゃんの自由と引き換えに、俺は勉強以外に陸上やサッカーなんかをやって、友達と遊んで楽しんでこれたんだ。
 背中を見せていた兄ちゃんの、正面の顔は……本当はどんな表情をしてたんだろう。
 兄ちゃんは一度だって、その顔を俺達に見せたことなんてない。
 それが、兄ちゃんの覚悟の現れだから。

「……健大、いいんだ。俺が悪かったんだから」

 一度だって、俺達兄弟は傷つけられたりしたことはなかった。
 初めて……生まれて初めて匡海兄ちゃんに殴られた。
 守るってことの重さと大切さを、改めて教えてくれたんだ。

「もう忘れねー。一度誓った言葉は絶対に反故にしない」
「その言葉、忘れんじゃねーぞ」
「じゃあ、僕も」
「お前は中学受験が最優先。その先は郁海とゆっくり話し合えばいい」

 結局、兄ちゃんは俺の目指すところを認めてくれるんだ。

「郁くん、痛くない?」

 兄ちゃんと洸ちゃんが鶴橋巡査と一緒に検査結果を聞いている間、頬を冷やす為に健大がナースステーションから氷を貰ってきてくれた。
 それを当てながら傷の心配をしてくれる。

「大丈夫。痛みはだいぶ引いたから」
「ごめんね、僕がもっとしっかりとナビしていたら」
「何言ってんだ、俺が調子に乗ってたのが悪いんだ。健大を守るって言ったのに反対に危険な目にあわせちまった」
「……僕だって」

 健大が唇を噛んだ。

「僕だって、守られてばっかりなんて御免だから」
「……は?」
「郁くんと一緒に自分の道を歩くって決めたんだから、僕だって郁くんを守る」
「健大……」

 そう。
 俺一人だけで、何でもやれるわけじゃない。
 一人では越えられない壁だって、健大と二人でなら越えられることもある。
 二人で目指すって決めたんだ。
 健大と二人で。



「おっはよう!鶴橋巡査」
「おー!郁海ぃ、健大、おはようさーん」
「おはようございます」

 家から駅までバスに乗って、駅からは歩いて学校へ向かう。
 途中にある交番には、顔見知りの警察官。
 そこから歩いて30分。
 俺達の通う学校は丘の上にある。

 今は……満開の桜。

 俺達の通う学校は桜の名所でも有名だ。

「じゃあ郁くん、お昼休憩にね」
「あぁ、健大今日から頑張れよ」
「郁くんも」

 俺は中学三年生になった。
 そして健大は……俺の学校の後輩としてこの春に清城に入学してきた。
 俺達は道を進み始めたばかり。

「なぁ、今年はすげぇ可愛い新入生が入ってきたってさ」
「それだけじゃねーぞ、新しい先生もすげぇ可愛いってさ」

 -ったく。
 年中発情してんのは人間だけだって言うけど。
 もう少し上品になれねーかな。

「郁海ー、お客さんだぜ」
「はぁ?」

 教室の入口から声を掛けられた俺は、振り向きざまに固まる。
 ドアのところにクラスメイトの人だかり。
 しかも廊下のほうにも人だかりが。

「な……なんだよ、あれ」
「例の噂のさ」
「噂?」

 さっきクラスメイトが言ってた可愛い奴らのことか。
 で、俺の客って……。

「郁くん!」
「健大!?」
「郁くん、僕のクラスの先生って尚央さんだったよ」

 えーっ、郁海の知り合いかよー!
 なんだよー、折角可愛い子が入ってきたかと思ったのにー。

 口々になんとも残念な声が上がる。
 俺の目の前には健大と、それから小柄な男性が一人。

「君が郁海くん?鶴橋君から色々と聞いてるよ」

 …………あ、この人が。

「郁海くんは随分と元気がいいから、よく面倒見てやってくれって」
「……尚央さん?」

 健大が不思議そうに首を傾げている。
 まだまだ監視付きってことか。

「郁くん?」
「健大、俺達、目指す場所までずっと一緒だよな」
「……うん、そうだけど?」

 健大もその気なら、遠慮は要らねぇ。

「健大、飛ぼうぜっ」
「えっ!?」

 健大の手を取って、黒集になった野郎供の中から引っ張り抜いた。
 そのまま教室を抜けて、窓から健大を抱えて外へと飛び出す。

「うわっ!郁海っ、ここ二階っ!!」
「んなこと解っとるわ――っ!」
「郁海くんっ!健大っ!」

 飛び立とう二人で。
 目指す場所まで。
 そこから更に高みまで。
 ずっと一緒だ。

 健大。


 

~END~

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KISSは夜更けに★番外編  FLY AWAY 37

 
 
 
 家の前に停められた大きなワゴン車に乗り込むと、車は静かに発進する。
 通り抜け出来ない道をUターンし、坂道を登りながら進んでいく風景を見ながら、俺は隣に座る健大の身体を抱き寄せていた。
 健大を守る。
 健大の道を俺と沿うようにしたくて、そう匡海兄ちゃんに宣言したばかりなのに。
 健大を守るどころか、調子に乗って危険な目に遭わせてしまった事実を、彼の体温を感じながら俺は凄く強く感じていた。
 ゆっくりと俺に体重を預けてくる健大。
 守ると決めた想いは変わらない。
 けれど、守ることの本当の『意味』。
 その重さを、俺は健大の温もりと緩やかな重みで実感している。

「なんだよ、大人しいなぁ。どっか痛いのか?」

 暫くして鶴橋巡査が心配して声を掛けてきた。
 別に何処も痛くないし、悪くない。
 ただ……。
 俺は声も出せずに首を振る。
 そのまま窓の向こうに視線を移すと、それ以上は鶴橋巡査も声を掛けてはこなかった。

「着いたぜ」

 総合病院の駐車場に止まった車。
 俺達が鶴橋巡査に付いて病院内に入ると、連絡が入っていたのか直ぐに検査が始まった。
 先生の触診や問診以外に、念のためにと脳波の検査もしてもらって、検査結果が出るまで診察病棟の小さな待合室で寛いでいた。
 明野さんが飲み物を買ってきてくれたとき、廊下の向こう側から走ってくる小さな影が見えて、それが雅海と照大だと気付いた。

「「にいちゃーん!!」」 
「うわっ!廊下走んなっ!!」

 綺麗に磨かれた廊下。
 雅海が躓いて扱けたと思ったら、そのまま腹這いでスライディングしながら俺の足元までやってくる。
 呆れて見下ろす俺の横から、健大が手を伸ばして抱き起こした。

「廊下は走っちゃダメだろ?それにここは病院だから静かにね」
「郁海兄ちゃん、健大兄ちゃん大丈夫?」

 雅海を追いかけてきた照大が心配げに声を掛けてくれる。
 大丈夫だ、と照大を抱き上げてベンチに座らせると、明野さんが買ってきてくれたお茶のペットボトルを渡す。
 俺と健大の間に小さな弟達を座らせて、匡海兄ちゃんは?と問うと「直ぐに来ると思うよー」と返事が返ってきた。

「照大、ちょっと見ないうちに大きくなったなー」

 鶴橋巡査が腰を落として照大に声を掛けた。
 一瞬、きょとんとした表情で相手の顔を見つめた照大だったけれど、「あー!」と声を上げると嬉しそうに抱きついた。
 抱き上げられた照大と健大を囲んで、明野さんと四人で話が弾む。
 俺と雅海は座ってそれを眺めていた。

 俺の知らない頃の二人。
 俺の知らない頃の知り合い。
 俺達には、お互いにまだまだ知らないことがたくさんある。
 それを一つずつ埋めていくことが出来れば。
 もっと俺達は深く繋がっていけると思う。
 健大を知ることが、守ることに繋がるから。

「郁くんっ!健大っ!」

 耳に馴染んだ優しい声に振り向くと、廊下の先に洸ちゃんが立っていた。
 突き当たりの窓から差し込む光で逆行になっていて、洸ちゃんの表情ははっきりとは見えないけれど、どれだけ心配を掛けたかが彼の姿から伝わってきて、思わず立ち上がった俺と傍に居た健大は、駆け寄ってきた洸ちゃんにぎゅっと抱きしめられる。
 洸ちゃんは既に目が真っ赤になっていて、連絡を受けてからずっと泣いてたんだろうと思うと鼻の奥がツンと痛くなった。

「怪我ないの!?どっか痛いところとか……5mも下の河に落っこちたって聞いて」
「ごめん……洸ちゃん、俺」
「洸兄、大丈夫。郁くんがちゃんと守ってくれたから」

 健大に庇われて情けなさがこみ上げる。
 どっちが守られてるんだか、これじゃ解んねーよ。
 二人とも無事でよかった、郁くんありがとう。
 そう涙声で縋りつく洸ちゃんに、俺は苦笑いを浮かべるしかない。
 不意に視界が翳ったと思って顔を上げると、何時の間に近づいてきたのか目の前に匡海兄ちゃんが立っていた。
 
 
 

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KISSは夜更けに★番外編  FLY AWAY 36

 
 
 
「俺のダチが着替えを持ってきてくれるからさ、そいつの車で念のため病院行っとこうぜ?な?」

 ……でも。
 俺は平気でも、もし健大に何かあったら困る。
 今は何てことなくても。
 そう考えると怖くなってくる。

「……解った」
「郁くん、僕なら本当に」
「でもさ、やっぱり一応診てもらっといたほうが安心だしさ」

 折角温まった身体が冷えるといけないから、と脱衣所の外から家の人の声がして、会話は中断された。
 腰にタオルを巻いた姿のまま、リビングのソファで毛布に包まりながら、鶴橋巡査が風呂から上がってくるのを待つ。
 玄関のチャイムが鳴ってリビングに上がってきたのは、交番前で鶴橋巡査と立ち話をしていた何時かのモデルのような男の人だった。

「おー!丁度良かった。手間掛けたな~、聖」
「寒い中水浴びご苦労さんなこった。これ、頼まれたもの」

 冗談を交わしながら、二人して紙袋をひっくり返している。
 鶴橋巡査は案の定、黒のスウェット上下を選んだ。
 俺にはTシャツにネルシャツとジーンズ。
 健大には同じくTシャツに柔らかい生地のパーカとハーフパンツが渡される。

「健大にはちょっと大きいかもしれないが、尚央が着てるやつだから心配すんな」

 聖、と呼ばれた人は、やっぱり健大とは顔見知りだった。

「明野さん、ご迷惑をお掛けしてすみません。ありがとうございます。あの……尚央さんは?」
「悪いな……今日は学会で県外に出ていて一緒には来れなかったんだ。洸大と照大は元気か?」

 鶴橋巡査と一緒に、夏休みに照大の面倒を看てくれた人なんだと健大から教えられて、俺も挨拶とお礼をする。
 185cmは下らないだろう長身の明野さんのジーンズは、悔しいけれど俺には裾を折る丈だったり、ネルシャツも肩も落ちるし袖も指先が隠れてしまう。
 体格は匡海兄ちゃんといい勝負。
 でも、兄ちゃんより少し大人なだけあって、表情は優しげで落ち着いている。
 明野さんも鶴橋巡査も、ちゃんと見れば凄くイケメンなんだよなぁ。
 もう一人、健大より少し大きめの服を着る尚央さんって人が、どんな人なのか凄く気になる。
 この二人が友達ってことは、その人も美形なのかな。
 そんなことを考えながら三人の話を聞いていると、家のご主人が俺と健大の鞄を持ってきてくれた。
 幸いなことに、俺のも健大のも途中で自転車から落っこちて、一緒に河にダイブするのは免れたようだった。
 俺の制服と健大の洋服を「こんなものに入れてごめんなさいね」といいながら、奥さんが透明なゴミ袋に詰めてくれていて、そういえばポケットにケータイを入れていたのを思い出す。

「坊主のケータイならポケットから抜いといたぞ。ずぶ濡れになっちまったな」
「あー、俺のは防水タイプだから濡れても平気だよ。生徒手帳は……乾かしたらどうにかなるか」
「悪いとは思ったんだけどさー、そこに書いてあった自宅のほうに電話しといた」

 ……だろうな。
 でも仕方ない。
 怪我するほどじゃなかったけど、警官のこの人だって職務中に河に飛び込むようなことになったわけだし、何にもありませんでした……なんて、署に帰って言える訳ない。
 未成年を保護した。
 ってことで、家族に連絡するのは……それが当然だって思うから。

「ま、仕方ないか。兄ちゃんスゲー怒ってるだろうなぁ」
「……匡海さん、怒ったらほんとに怖そうだね」
「鬼だからな~。つーか、ありゃ魔王だよ、魔王」

 周りの大人が、呆気に取られたような表情で俺達を見ている。
 この後、どんなカミナリが落ちるか想像すると、そんな大人たちの視線なんてどうでもよくなってくるくらいだ。
 匡海兄ちゃんの説教のことを思うと、今から気が重くなってくる。

「じゃあ、病院に行くかー。ちゃんとご家族にも病院の場所連絡しておいたから、早く行って検査しておいて貰おうぜ」

 鶴橋巡査の言葉に、俺達は家のご主人と奥さんにお礼を言って外に出た。
 崖側に立ててあったガーデニングフェンスは壊れてはいなかったけれど、自転車の前輪をフェンスの隙間に挟み込んだまま、少しだけ崖側に傾いている。
 悲しかったのは、鞄が飛んできたんだろう青々と茂った草木の一部が、花壇の中で折れてしまって穴が開いたようになっていたこと。
 丹精込めて手入れしてあると見て分かるだけに、本当に申し訳ないことをしたと思う。
 改めて謝りの言葉を紡ぐと、その家の奥さんは「こういうこともないと手入れのし甲斐がないわ」と笑って許してくれた。
 
 
 

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